序章 小さな魔術師

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  この世界には、亜獣と呼ばれる危険な生物が、数多く生息している。 その起源は定かではないが、進化の過程で分化した生き物ではないようだ。 多くの研究者たちは、この世界を支える精霊界に異変が生じ、その歪みによって変異した生物と考えている。 そのメカニズムの解明は容易ではなく、調査と研究がいまも続けられている。 しかし、亜獣たちが街や村や旅人を襲うこともあり、研究結果をのんきに待つ余裕はなかった。 人びとは自衛のための手段を講じたが、個人の力には限界がある。 そこで、亜獣たちの駆除を目的とするハンターズギルドが結成された。 ライシス教教会を支持母体とする彼らは、みな同じ徽章(きしょう)を身につけている。 そこには、剣を掲げ、円形の盾で身を守り、六枚の翼をひろげて飛び立たんとする天使の姿が刻まれている。 人びとは、その姿に尊敬と畏敬の念を抱き、彼らをこう呼んだ。 ――ガーディアンエンジェルス(守護天使)と。  
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