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この頃になると、亜獣に襲われて命を落とす者があとを絶たなくなっていた。
本当にそうなのか、じつのところ定かではない。
ただ、村の外へ出掛けていった者が、何日経っても戻らないのである。
残された家族は、当然のことながら森の捜索を希望した。
森をさ迷っているか、怪我で動けないのだと、ほんのわずかな可能性に一縷(いちる)の望みを託した。
しかし、捜索に協力したのは、いつもほんの数名だった。
もし、自分たちが出払っている間に、村が亜獣の群れに襲われでもしたら、ひとたまりもないだろう。
そう考えると、生きた家族を残して、わざわざ死体を探す気になれない者が大半だった。
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