序章 小さな魔術師

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  この頃になると、亜獣に襲われて命を落とす者があとを絶たなくなっていた。 本当にそうなのか、じつのところ定かではない。 ただ、村の外へ出掛けていった者が、何日経っても戻らないのである。 残された家族は、当然のことながら森の捜索を希望した。 森をさ迷っているか、怪我で動けないのだと、ほんのわずかな可能性に一縷(いちる)の望みを託した。 しかし、捜索に協力したのは、いつもほんの数名だった。 もし、自分たちが出払っている間に、村が亜獣の群れに襲われでもしたら、ひとたまりもないだろう。 そう考えると、生きた家族を残して、わざわざ死体を探す気になれない者が大半だった。  
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