第1話 日常

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年に2回ゴールデンウイーク明けと年明けにペンション朝比奈は1日完全休館日を設けて家族でのんびり過ごすハウスルールがあったのだがまさかその日が一家を壊滅させる惨劇にみまわれるとは露ほども思っていなかった。 「明日はどこに行きたい?」 「渚ねぇ遊園地!」 「遊園地かぁ、なら明日は遊園地に行こうね。」 夫の大和と渚の会話を聞きながら幸せそうな笑みを浮かべている妻の詩織 「渚良かったねぇ!明日はパパが遊園地連れてってくれるんだってぇ」 「うん!」 大和が何気なしにチャンネルを回しているとニュースで見覚えのある景色が映し出されていた。 (ん?) 「なぁ詩織、これってふもとの街だよなぁ」 「あら、そうね。何のニュースかしら?」 チャンネルを合わせたところでコマーシャルに変わった。 「明日も早いし寝るか?」 大和はそう言いテレビを消した。 「そうね。お客様を送り出したらお出かけだしね」 何気ない日常の1コマだがこの瞬間が後の運命を決定づけた選択ミスとなるのである。
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