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その頃、大和は館内の戸締まりを確認して地下へ戻ろうとしていた。
「詩織の奴はまだ事務所にいるのか?」
事務所では一面に血が飛び散った中を江川が金を探している。
「くそっ!ない!どこにありやがる」
カッカッカッ
大和が階段を降りる音に気付いた江川は扉の影に身を隠した。
ガチャ
「詩織、何やって…詩織!!」
事務所に入るなり血達磨になっている我妻の姿に動揺し駆け寄る大和は扉の影の江川に気がつかなかった。
「詩織!詩織!」
抱きかかえ名を叫ぶ大和の背後から振り上げられた包丁が大和に振り下ろされた。
「詩織!目を開けてくれ!」
ドン!
「しおっ…」
大和の肩口に突き立てられた包丁は肺に達する程だった。
「ぐあぁっ!」
更に江川は大和を踏みつけた。
「金を出せ!」
「貴様が…ゴフッ!詩織を…」
「金を出すか死ぬか選べ」
包丁を振り上げ大和に選択をもちかけたが大和は金を出そうとはせず愛する者を殺めた江川を睨みつけた。
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