夢幻泡影

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イキタイ いきたい もっと生きたい 紅き血に染まったわたしには そう願うことですら・・・ 罪ですか? ◆◆◆ 日が落ち、薄暗くなった京の通りを二人の男が歩いている。 「げほっ、ごほっっ」 突然一人が蹲り、激しく咳き込んだ。 「総司、大丈夫か?」  もう一人の男が慌てて駆け寄り、声を掛けると、総司と呼ばれた男はにっこりと笑みを返した。 「大丈夫ですよ。さ、早く屯所に戻りましょう。近藤先生が待っていらっしゃいますよ。そのうち探しに来てしまうんじゃないですか?『歳と総司は迷子になっているのかもしれないっ!!』とか言って。」 「あの人は心配性だからな。」 「土方さんの心配性も相当なものですよ。近藤先生に負けず劣らずです。」 「あそこまでじゃないだろう。」  土方はむっと眉をひそめた。  総司はそんな土方を見てからからと笑い、二人は並んで新撰組の屯所へと歩き出した。  屯所に戻った二人は今まで幾度となく繰り広げられたやり取りを始めた。 「総司、医者の所へ行け。」 「嫌ですよ。」  総司はにべもない。 「ただの風邪ですからすぐに治りますって。」 「ただの風邪が三ヶ月も続くと思うか?」  土方が総司を胡乱な目付きで睨むが、対する総司は飄々としている。 「最近の風邪はてごわいですからねぇ。だけど大したことありませんよ。」
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