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夜の国から還った少女
=鬩(せめ)ぐ境界を退ける灯(きぼう)
精霊(アカリ) 契りを交わし
窮す都の救い手となった
心奪う霧の 恐怖と焦燥が
少女を神の殿上へ
近く遠い地下(じげ)
霧が無ければ名も無き花となり共に咲ける
少女に 守りたい 場所ができた
月精霊(ツキアカリ)剣を授け
「霧を打ち払えば 貴女は人になれるのでしょう。」
平穏と同胞(はらから)という
当然の幸福望み
夜の世界に飛び込んだ
夜の住人の王
=惑いの霧を生み出す魔物
望まれぬ灯(ひかり)は人の子
優しき心は 赤子を抱いた
人の姿容姿(かたち)
=異形なる獣(けだもの)
「蔑むべき←→王の寵愛」
夜の住人たち 歪む思い抱き
彼女との距離 見失った
いつしか 少女は 霧の中で 独り
夜深山(やみやま)に 似合わぬ閑雅
可憐な少女
森の闇より暗い 寂しさ纏う
「その生は此処には無い」と
郷愁(おもい)を 全て消し去り
正しき場所へと還した...
---黒茂る森の奥 いつの日か愛した姿 眼の前に---
血の流れぬ結末を望み
「死して世界が変わらなければ...」と
幻想は刹那 無数の声が呼ぶ
無垢な灯火(ひかり)を 掻き消せと叫び猛り哭(な)く
夜の王には 守るべき 世界があった
双(ふたつ)牙 泉を作り
赤の鏡に映るものは
頬伝う銀の雫
悲しみが 衝動が
慟哭と化し闇生み
精霊(アカリ)の世界飲み込んだ
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