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「はい、では中野さん、約22世紀から23世紀にかけて世界で起こった重大な変化の名前は?」
先生はもう黒板に文字を書く姿勢になりながら、一人の女生徒に質問をした。
「え…と…[授かりし者]の出現…ですか?」
女生徒は急に当てられた事にすこし動揺し、ただの常識の確認レベルの質問に答えることにも自信が無いようであった
「ええ、その通りよ。でももう3年、生なんだから、これくらい自信を持って答えて欲しかったな」
そう言いながら先生は黒板に様々な色のチョークで四角い枠を幾つも描いていった。
「じゃあ次…小泉君、これらの色のものを[授かりし者]」にはどんな事が主に出来るようになるか枠の中に書いてくれるかな?」
そう言われた小泉の額には、紫色の睫毛の無い瞳が輝いていた。小泉君はふーっと一回息を吐いて呼吸を落ち着けてから、黒板の方に向かって手を伸ばした。すると白いチョークがゆっくりと浮かびだし、カラフルな枠の中に次々に文字を書き入れていった。
「えっと…赤は筋力関係の強化、青は移動関係の強化、緑は防御、紫は念力…うん、全部合ってるわね。それに念動力の方も随分上手になったみたいね」
小泉は照れたように前髪をおろして額の目を隠した。
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