Ⅱ 虫

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Ⅱ 虫

誰もいない放課後、ガランとした教室、さっきまで人がいた校庭。 俺の前には蓋が開けられた赤い匣、何にも入っていない匣。 なぜ、こんな事になったかというとそれは数時間前というか何というか… ……………… ……… …… …6時間目の授業中だった。俺は先生の話があまりにも長すぎる (と言うか熱く語っていた) ので、一人眠っていた。 夢の中で俺の席に赤い不気味な匣が一つ置いてあった。 畏怖というのか、恐れのあまりか全身に汗をかき、ゾクッと鳥肌が立った。 “開けるな”と俺の心が警告している。 バシッ 「いってぇぇ。」 頭を叩かれたことで現実世界に無理矢理、引き戻された。 クスクス クラスの連中か笑っていた。目の前には血管が浮き出ていて今すぐ怒鳴りそうな鬼山がバックにゴゴゴゴゴ・・・・・という音が実体化し、さらには龍が登っていた。 「くぉぉぉらぁぁぁ岡田ぁぁあぁぁ。ぬわぁに気持ちよく寝てんだコラー!!!」 ガン 鬼山は教科書の角っちょで俺の頭を叩いた。(そうだ鬼山は空手部の顧問だっけ……ポリポリ) 俺は放課後までのんびりと充実した時間を……。 そうして話は冒頭に戻る……。 俺は何気なく?とか言って、本当はかなりびくびくしながら開けたんだろ? まぁ、そうだな。しかし開けなければいけないと分かっていたからうんぬん。
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