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和樹は毎日のように遊びに来ていた。
時間を見つけては病院へも一緒に付き添ってくれている。
沙織の体調も安定し、医者からは薬も必要ないとまで言われた。
沙織は確実に体調が良くなっている事を実感していた。
「沙織良かっな。薬も必要ないって医者が驚いてたもんな」
自分の事のように喜ぶ和樹は「次は歩く練習だ」と笑っていた。
沙織は長い闘病生活の為、歩く事が殆どない。
移動も車椅子なのだ。
それでも子供の頃は歩く事が出来ていた。
歩かなくなって久しいが「体がきっと覚えているから」と和樹はいつでも前向きなのだ。
そんな和樹の言葉に沙織は頷く。
まだ二人でデートもした事がない。
それは仕方のない事ではあるが、歩けるようになればそれも可能になる。
「頑張るよ」
沙織は和樹に聞こえるようにそう言うと、両手を握って気合いを入れた。
こうして沙織のリハビリが始まって行く。
いつも沙織のそばに和樹が居たからこそ辛いリハビリも頑張れた。
そして沙織が歩けるようになった時、二人は初めての夜をむかえた……。
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