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カーテンの隙間から射しこむ陽射しに、薄ぼんやりと目を覚まし、今日も自分が生きていることを自覚する。
自分が望むものは何なのか、この虚無感は何処からくるのか…
毎朝のように自問自答を繰り返す。
「失った時間が戻ることはないのに…」と呟きながら。
何かが思い出しかけられたが…また、消えていった。
部屋の時計を見ると軽く身支度を整え階段を下りる。
食卓に用意された朝食、エプロン姿の母、新聞を読む父。
私がずっと願った朝、私がずっと憧れた家族。
あの日々とは違う生活。
…でもよそよそしい母、腫れ物に触るかのような態度の父。
そこには私の居場所はない。
私は「おはよう…」と小声を振り絞り声をかける。
「あらっ起きたの?おはよう。」
一瞬ビクっと肩が震えた母。
「ん…おはよう。」
目を合わそうとしない父。
私は、朝食に手をつけても食欲もわくはずもなく。
早々にその場から離れる。
私が部屋から出るとホッとした顔になる両親がいた。
私の苦痛。
思い出せない何かと、ズキズキと痛む頭に毎朝のように苦しめられていたが、何よりも、この場所に存在することが辛かった。
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