エピローグ・いつか、どこかの世界が終わった日

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木々が割れる音を弾かせ、高らかに燃える。 よく知った街並みは熱風を巻き上げて、木でできた建造物の群れは容易く黒炭と化した。 そうして、もはや恐怖に叫び声を上げる人すら居なくなった黒の世界に、それもまた炭の様に黒く、家よりも大きな影が寂しそうに佇んでいた。 疎ましい熱風を避ける黒い影の元へ、異邦から訪れた少女が一人迎えに行った。 彼女もまた孤独で、愛おしそうに黒い影を見上げるとニコリと笑い、目尻から雫を溢して剣を構えた。 「さあ、帰ろうノア……僕たちの家に」 とある勇者は己ごと魔王を封印し、そして滅んだ世界からは……とうとう誰も居なくなった。 __**……。 ……星*………*、……星琥!!
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