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「はい注目ー!クーシェちゃん、それと魔王様の命令外ではあったけどパール君もお疲れ様でした!
さて、今回得てきた映像も踏まえまして、双子のお姉ちゃんが勇者だと思う人、挙手をお願いします!」
元気よく司会を勤めるはストーリン。
中世のソファ、家具が綺麗に配置されたシンプルな作りの窓のない部屋、談話室では、コウモリの羽を持った小さな目玉型の魔物に撮らせた星琥と華矢の戦いの映像をでかでかとスクリーンに流して三人の魔人に見せていた。
フロスの魔人、ベル、パール、クーシェは各々くつろぎ休んでいて映像を見ておらず、パールのみ「あ、華矢ちゃんだ、かーわいー♡」などと呟き、こちらはストーリンの話すら聞いていない。
「ちょっと君達?!実践任務以外にあまりにも興味が無さ過ぎませんか??伝説の悪獣の名が泣きます、後魔王様も!!」
元人間ともあって魔王はベルやパールの意見を貴重としていて、ストーリンも魔王の期待と可愛い部下達の活躍の場に張り切っていたのだが……
それぞれの協力性、協調性があまりにも乏しく、ストーリンのやる気だけが空回りして整えられた髭にまで掛かるほど滝の涙を流していた。
しかし、やはり思うところがあったベルは、組んでいた腕の手を小さく上げて口を開く。
「クーシェも喰らったからわかるとは思うが、あのガキの剣から放たれる炎……明らかに光の属性も入ってやがった。あれは勇者のものなんじゃないのか?」
「……ベル君、挙手はもっと大きく手を上げて下さいませんと、わたくし分かりませんでしたよ」
「チッ!!意見出してやるだけ有り難く思え!」
ベルの態度に対してしょんぼりとしながら率直な感想を述べるストーリンに、ベルは頬を赤らめてガチギレで返すと、クーシェはツボに入ったのか飲みかけていた飲み物を口から盛大に噴き出していた。
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