何だかんだ、1番怖いのは人間

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「な何事ですか勇者様方?!」 「すすすすみませーん!!姉がベットから落ちてしまって、寝ぼけて悲鳴をおほほほほ……」 シーツを翻し、妖精の少女を隠す華矢。星琥も星琥で悲鳴に驚きベットから滑り落ちていた。 村長や付人、隣に部屋を借りていたリノとシオンも飛び起きて武器を手に取っていた始末だ。シオンに至ってはリノの背後で震えて様子を見ていた様子だが、特に事件も無くよかったと皆解散して行く。 「……!」 ほんの僅かの瞬間、村長はベットに転がっていた妖精が持ち込んだ鏡が目につき、少し驚いて目を見開いていたが……その場では特に深入りすることなく、俯いて寝室へ戻って行った。 「ちょいちょい、君たちはコッチ!」 再び寝直そうとしていたリノとシオンを引き止め、華矢は自分達の借りている寝室の中へと二人を手招く。 「どうかしましたか華矢さん、星琥さんは大丈夫でしょうか?」 「……っ?!」 女子部屋に呼ばれてすんなりついて行くリノにシオンは脳が誤作動を起こす。しかし機を逃すシオンではなく、ちゃっかりと部屋に案内されるのであった。 「よし、出てきて大丈夫だよマーチさん」 「えっ?部屋にどなたかいらっしゃるん……」 ドアを閉め、妖精マーチを隠したシーツに向かって声をかける。ベットで頭を掻く星琥もシーツに目をやり、誰かいるのかとリノが部屋を見渡していたが、マーチが一向に出てくる気配がなく華矢が恐る恐るシーツを持ち上げた。 相手は妖精、人間の咄嗟に出た力の勢いに耐え切れずぺちゃんこにされていたのだ。 シーツからころりと落ちたマーチの姿を見た華矢は顔が真っ青になり、あまりのショックで悲鳴すら上げられなかった……。
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