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勉強机が二つ、放られたカバンも二つ、狭い部屋に無理やりはめられたベットも二つ。
窮屈そうに並ぶ部屋に、旧式のキャラクター目覚まし時計の電子音が鳴り響くが、時計の音を止めるものは誰もいない。
いや、止める気のある者がいないのだ、暖かく、もはや暑過ぎるほどの朝日が部屋の持ち主である二人の姉妹の熟睡している部屋に差し込むが、二人はカーテンに守られていて未だに目を覚ます気配はなかった。
「せいこ……星琥………!!」
遠くから、誰かを呼ぶ声が聞こえてくる。
声の主は痺れを切らせていて、ぱたぱたスリッパの足音が近づいてきた。
「こら、星琥(せいこ)!!いつまで寝てるつもり?起こしてって言ったのはあんたでしょうが!!」
片手にお玉を持ったエプロン姿がの母親は……兎に角朝からキレていた。
憤怒の母親を他所に、寝ている子供は二人の筈が、一人だけ名前を呼ばれた少女、星琥はそれでも気持ちよさそうにむにゃむにゃ寝言を漏らしている。
「……まったく、高校二年に上がってから初めての朝練だったんじゃないの?華矢もついでに起きちゃいなさい!」
『朝練』の単語が星琥の耳に入ると、途端に、古いキャラクターの時計の腹部に付いている時計に目がいく。
その間1秒も経たないうちに星琥はベッドから盛大に飛び出した。
「うわあああ!!なんでもっと早く起こしてくんなかったの、誰よりも早く朝練に行って『キャーー!星琥先輩もう朝練始めてるー、すっごーい!私も星琥先輩みたいになりたーい!』
……ってなりたかったのに予定時間を30分もオーバーしてる!!」
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