1.始まりはいつも

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 唾を飛ばしながら一気にまくし立てると、やっとのことで一息入れる。  流石の肺活量とでも言うべきか。  勿論、口に出して言うことはしない。 「まったくもってキョウカの言う通り。いやはや昨今の日本人の羞恥心はどこにいったのやら」  中には本人の預かり知らぬところで出回ってしまった物もあるだろうが、直弥はただウンウンと頷くのみ。  ただじっとして、台風が一秒でも早く過ぎ去るのを待つばかりである。 「そうか、理解してくれて嬉しいぞナオヤ」 「いや、当然だろ」 「で?どうしてじりじりと私から離れるんだ。ん?」 「だって、キョウカが擦り足で距離を詰めてくるから」  何かあっても逃走出来るようにと、ゆっくり距離をとろうとしていた直弥だが、キョウカがそれを見逃すはずもなくあっという間に襟首を掴まれてしまう。 「ちょっ、暴力はんたぁ!?」
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