鬼姫といっしょ！その参

1.始まりはいつも

「ぅ、うるさい！見ず知らずの女なんぞに負けていられるか！！さあ、言え。どのポーズをしてやろうか――――言わないのなら……」

「落ち着けキョウカ。ま、まずは話し合う事が大切だろ？」

「話し合い？ふん、片腹痛いわ」

　じりじりの直弥との距離を詰めるキョウカ。

　かたや気恥ずかしさから満足に視界も確保出来ない直弥。

　どちらが優勢なのかなど一目瞭然、脚の折れたシマウマと空腹のライオンの如く、二匹の結末は実にわかりやすい。

　――この日、防音がしっかり施されたマンションにもかかわらず、若い少年の悲鳴が鳴り響いた。

　彼に何が起こったのか、それを知る者は…………三人だけいる。

　当事者たる直弥にキョウカ。

　そして、凄惨な現場を覗き見て腹を抱えながら笑い転げていたツグミだけ。

　賑やかな空気は未だ色褪せぬまま、そこにある。