1.始まりはいつも

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 自宅のマンションへと続くなだらかな坂を、久垣 直弥は軽く息切れをおこしながらゆっくりと歩いていた。  学校帰りらしい彼は水谷高校の制服であるブレザーに、防寒の為にマフラーを首に巻いている。  ――季節は冬になっていた。  ちなみに今日は国民の休養日であるはずの日曜日である。  にも関わらず、今日彼が登校したのは勿論訳有りだ。  リーリスに秩序の騎士との一件による傷を癒して、初の登校日、約二週間ぶりに顔を会わせた担任(怪我から無事復帰したらしい)は開口一番にのたまった。 「久垣、おめでとう。留年危険者リストに仲間入りだ」 「……………………………………………マジですか?」 「ああ、えらくマジだ」  お前は成績いいけど休み過ぎ、このままだと出席日数足りないから。そう言って直弥の前から担任は用は済んだと去っていった。
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