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高校で留年なんかしていられない。
それからというもの、直弥はそれぞれの科目担当教員に頭を下げ、約二ヶ月もの間補習や課題をこなすことで単位を貰う約束を見事取り付けたのだった。
代わりにこうして休日出勤するはめになっているのだが、背に腹はかえられない。
先程から吐く白い息の中に時折溜め息を混ぜつつ、直弥は考える。
(いつになったら、身体は全快するんだか)
実のところ、前回の戦闘で受けたダメージが抜け切れていないのだ。
おかげで、こうして坂を登るだけでも息切れする始末。学校に行くのも一苦労な運動になる。
しかも厄介な事に外傷ではなく、左眼を使ったことによる副作用が原因らしいこの倦怠感は、身体の奥深くに根っこをはったようにしていっこうに治る気配が見当たらない。
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