1.始まりはいつも

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 秩序の騎士との一件によって直弥の『ラプラスの魔眼』は知られるはず、そうなれば彼等は黙っていないだろう。  今はまだ、何も起こらないことから特定されてはいないものの、それも時間の問題と言ったところ。  遠からず直弥の目の前に現れることだろう。  世界の理から外れたモノを抹消するために。  そしてその時に、自身の身体が万全でなくとも敵には関係のないこと。  これ幸いとばかりに殺されてしまうはずだ。  いつの間にか到着したマンションのオートロックを開けると、一区切りとばかりに盛大な溜め息を吐く。  呼び出したエレベーターに乗ると頭を切り替える。  家に帰れば直弥の帰りを待ち侘びる鬼が一匹いるのだから。  もっとも、こうした気構えも随分慣れてしまったし、あまり気疲れすることもなくなった。
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