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たとえば、だ。
目の前に苦手な奴がいたとする。
そいつが膨大な量の書類を持って
ヨロヨロと歩いていたとする。
いくら苦手な奴でも
細い奴が重い物を持ってる光景は
やっぱ良心が痛むというものだ。
書類の量おかしい。頭みえねぇ。
なんでアレ一人で運んでんだよ。
・・・ようするに俺は目の前にいて
ヨロヨロフラフラと書類を運ぶ、
生徒会長殿をほっとけないのだ。
正直ヤツの事は嫌いなんだが、
俺の中の正義感やら良心やらが
素通りを許しちゃくれない。
くそったれ。
きっと親父の教育の所為だ。
(・・・・はあ。俺って良い奴)
「そこのフラフラしてる奴!!」
折角俺が声かけてやったってのに
奴はため息混じりに振り向いた。
良い度胸じゃねえかオイ。
もし親父関係の奴じゃなかったら
今すぐ地中に埋めるところだ。
「ヨロヨロしながらそんなに一杯
なーにを運んでんだよ?」
「・・・・生徒会の書類だ。
お前には関係ないだろう?」
上から目線、高圧的な態度。
人が優しーく聞いてやってんのに
よくもまあ・・・とは思わないでも
ないが、今はじっと我慢する。
「はぁ。どこ持ってくんだ?」
油断しているヤツから
書類を奪うのは簡単だった。
つーか、改めて見ると本当細い。
ちゃんと飯食ってんのか?
「・・・・なっ、え、おい!?」
普段スカしてる奴が
慌てる様子を見るのは
なんとなく気分が良かった。
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