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始まりは今となっては定かでない。もうみんな忘れてしまったのだ。
でもたしか、始めは携帯依存症の女子高生たちの間に広まった。
最初は、小さな街で一番の不良グループの頭。思えばたいして不良だったわけじゃないが、彼らは精一杯悪を掲げてた。高校生と言っても名ばかりで学校なんかほとんど行っていない。
でも何故だろう。
改心したわけじゃない。単なる気まぐれ。遊ぶお金を切らして、道端のオヤジを狩るのが面倒だっただけ。
ふと学校に行った。
まさか気持ちの良い空間じゃない。
ほとんど初対面のクラスメイトからは白い目で見られ、教師たちは彼をまるで存在すらしないかのように扱う。
彼は初めて、辛いと思った。
長い一日。
早くいつもの場所に帰りたい。
ふと不安になった。
いつもの場所に帰って、誰かが待っていてくれるだろうか。
皆自分のことで精一杯。
もちろん彼も。
ちらちらと感じる視線と重い空気の中で彼は必死に戦った。時計の針が止まっているかのように見える。
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