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長い一日が終わる。
安堵の溜め息を吐いた。
クラスメイトは彼がおとなしく一日を終えるとは思っていなかったのだろう。またちらちらと白い視線を刺しながら彼を通り過ぎていく。
もう用は無い。
今後学校に来る気も無かった。出席日数が足りなくて退学ならそれはそれで成り行きに身を任せればいい。何かに立ち向かってその場で強く立つことなど所詮無駄なのだ。
学校を出て繁華街へ出る。
いつもの場所へ――…
ふと足が止まる。
あそこへは戻る気になれなかった。
裏切るわけじゃない。
今日一日顔を合わせていないアイツらは大事な仲間だ。
でも、何故だろう。
さんざん俺を白い目で見てきたクラスメイトが。存在を否定した教師が。
脳裏をよぎる――…
繁華街の赤い光が目の中で踊る。人込みの中で立ち尽くしていると、何度も肩にぶつかられ、よろめく。
ビルとビルの間から覗く小さな小さな灰色の空。
凄く綺麗だ。
またひとつ溜め息を吐いた。
ふと携帯がバイブする。
あいつらかな?
そっと開いた。
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