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外は朝日が眩しく光り、村人達が颯の見送りに来ていた。
「がんばれ!」
「ちゃんと歯磨いて寝ろよ、阿呆娘!」
「元気に過ごせよ、阿呆娘!」
村人達は口々に見送りの言葉を言ってくる。
颯(どいつもこいつも……[★])
ふと霙が……
霙「……初めは本当に驚いたわ。」
颯「……ぇ何が?」
霙「何って……いきなり自分探しの旅に出るんだぁって言ったことよ。」
颯「あぁ…それね…。」
霙「あなたは今のままでもよいけど……颯が決めたことなら止めはしないわ。」
颯「霙さん……。」
霙「……いつでも帰ってきな、この阿呆娘。
颯の帰る家はここなんだから。」
颯「…ぅん……ありがとう…。」
颯の眼には涙が溜まっていて、今にも零れそうだった。
霙(てか言ったことにつっこまない……。)
氷雨「ったく…相変わらず涙脆いな。少しは強くなれよ。」
颯「だから旅立つんじゃないですか……。」
氷雨「まぁいい。
それよりお前に渡したいものがある。」
颯「渡したいもの?」
そう言われて受け取ったのは、先程から手にしていた厚く古びた本だった。
颯「何ですかこれ?」
氷雨「中を見てみろ。
旅の暇つぶしになるかもしれん。」
颯「ぇーと……何々……?」
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