*旅立ち*

4/6
前へ
/51ページ
次へ
外は朝日が眩しく光り、村人達が颯の見送りに来ていた。 「がんばれ!」 「ちゃんと歯磨いて寝ろよ、阿呆娘!」 「元気に過ごせよ、阿呆娘!」 村人達は口々に見送りの言葉を言ってくる。 颯(どいつもこいつも……[★]) ふと霙が…… 霙「……初めは本当に驚いたわ。」 颯「……ぇ何が?」 霙「何って……いきなり自分探しの旅に出るんだぁって言ったことよ。」 颯「あぁ…それね…。」 霙「あなたは今のままでもよいけど……颯が決めたことなら止めはしないわ。」 颯「霙さん……。」 霙「……いつでも帰ってきな、この阿呆娘。 颯の帰る家はここなんだから。」 颯「…ぅん……ありがとう…。」 颯の眼には涙が溜まっていて、今にも零れそうだった。 霙(てか言ったことにつっこまない……。) 氷雨「ったく…相変わらず涙脆いな。少しは強くなれよ。」 颯「だから旅立つんじゃないですか……。」 氷雨「まぁいい。 それよりお前に渡したいものがある。」 颯「渡したいもの?」 そう言われて受け取ったのは、先程から手にしていた厚く古びた本だった。 颯「何ですかこれ?」 氷雨「中を見てみろ。 旅の暇つぶしになるかもしれん。」 颯「ぇーと……何々……?」    
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加