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孝弘「なにやってんだよお前!ひ、人の頬を舐めるんじゃない!お前は犬か!」
恥ずかしくなって、恋水を引き離そうとするが、ひしっと俺に抱きついて離れようとしない。
恋水「えー。昔からこうやってたじゃなーい。覚えてないのたーくん?」
孝弘「嘘だっ!」
恋水「嘘じゃないよーぺろぺろ」
恋水「こうやって舐めてたら思い出すかな?ぺろぺろ、ぺろぺろ、ぺろぺろ……」
孝弘「ひいい……!」
ぞわわわわわっ……。
嬉しくないと言えば嘘になるが、こんな慣れない感触が頬を撫で上げてている状態に、身体が驚いて鳥肌を立ててしまうのだ。
身の毛がよだつとはこのことか。
……。
……だが。
……うーん、しかし、言われてみればそうだったような気はするが……。
恋水……そうだ、恋水はいつも俺の頬を……。
……。
思い出した。
確かに、俺たちはこうしていたんだ。
でもな……もうこんな歳なんだから変な癖は直せよ。
恋水「ぺろぺろ」
孝弘「……」
懐かしい感覚がした。
孝弘「……そうか、恋水か。恋水……お前はちっとも変わっていないんだな」
思わず恋水の頭をなでなでしてしまう。
ああ、この感覚。まさに子犬だ。
恋水「うー、ちょつとは大人になりましたよーだ!」
孝弘「大人に……、ね」
どこがじゃ。
孝弘君変わっているのは中身だよ
孝弘「はっ今のこえは誰だ?………まぁ気のせいだろ」
ガーン!きのせいにされた。
孝弘「まぁ作者の声はほっといて」
恋水「どうしたの?たーくん、急に一人事なんていって」
孝弘「まぁ気にするな」
……それに大人になんかならなくてもいい、と思っている自分がいた。
そして、こんな変わり果てた街で、昔と変わらない無邪気な恋水の姿を見て、ようやく懐かしさが胸に溢れた。
孝弘「何年もたってるのに、よく俺のことが分かったな」
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