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感動で涙腺が緩みそうになる。恋水の前で泣くのは恥ずかしいから、顔を見られないように頭を撫でる。
恋水「ふふ」
くすぐったそうに喜ぶ恋水。
恋水「だって……だって……たーくんだもん!」
孝弘「訳分かんねーよ」
恋水「うー、でも分かるものは分かるんだもん、なんだろうな、ほら、雰囲気とか、そういうのかな?」
孝弘「雰囲気って……違ったらどうするんだ」
恋水の雰囲気はぜんぜん変わってないように感じたが、俺自信はずいぶん変わったように思う。
なにしろ鼻水を垂らしていたころに比べれば、多少なりとも格好よくなったはずだ。
30人クラスの15番目ぐらいの格好よさはあると自負している……って微妙か。平均じゃぬえか。
恋水「違わないから大丈夫だよっ!」
孝弘「もし、違ったら……」
恋水「違わないもん。大丈夫だもん」
なんだか知らないが、すごい自信だ。
俺に雰囲気の似た男に、同じようなことしでかしてないか、若干不安になる。
孝弘「いやしかしだな、万が一ってこともあるし……」
恋水「ないもんないもん絶対ないもん!恋水はたーくんのこと間違えないもん!ぜぇぇぇぇつつつつつつたいに間違いませんよーっ!」
孝弘「……」
孝弘「……実は俺、君のいう『たーくん』じゃないんだ」
恋水「えっ!?」
孝弘「小さいときに呼ばれていたあだ名が同じ『たーくん』だったからつい反応しちまったけど、実は俺、君のこと知らないんだ」
恋水「うそっ。うそうそうそうそうそうそ!そんなのうそだよかわうそだよっ!どこからどう見たってたーくんだもん!」
孝弘「人違いだよ」
恋水「でもでもっさっきたーくんは恋水のこと恋水って呼んでたもん!恋水のこと知らなかったらそんなことしないもんっ!」
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