プロローグ

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それは……あまりに唐突だった。 回転!回転!(まわると読みます) 世界が回転ってるるるるーーーツ!? 少女「たーーーくーーーーーーーんっ!!!」 孝弘「うぉああわぁぁああああーーー?」 猛烈な勢いで引っ張られて前後不覚に陥る俺。 耳をつんざくような声が俺をさらに混乱させる。 た、たーくん? たーくんってなんだ? 少女「たーくん!たーくん!たーくん!たーくん!たーくん!たーくぅーーんっ!」 孝弘「ギャーーーーっ!!」 振り回されながらも、徐々に状況を把握する。 どこの誰だか知らないが、女の子が全体重をかけて首に絡んできているのだ! 飛びついてきたから、勢い余って俺まで振り回されている。 目が、目が、目が回る……ツ! それに、このままじゃ、俺の首がポッキリいってしまうぅ! 首が、首の骨がきしむぅう! 孝弘「うおっ!!?」 少女「たーくん……?」 あぁ……意識が遠いていく……。 死の安らぎは、等しく訪れよう……脇役であろうとも……。 主人公であろうとも……。 フェスタ完 おお、くろだたかひろよ! しんでしまうとはなさけない……。 そなたにもういちどきかいをあたえよう。ふたたびこのようなことがないようにな。 では、ゆけ!くろだたかひろよ! 15分前 孝弘「……ハッ!?」 町に降り立った俺は、一瞬立ちくらみを覚えて、天を仰いだ。 孝弘「……はは」 孝弘「ここんところ忙しかったからなぁ……つかれてんのかなぁ……」 孝弘「親父の見送りのあとに、荷造りして、それから役所行って……」 普段言わないようなひとり言が漏れる。 孝弘「……はは、幻が見えるなんてなぁ」 きっと気のせいだ、そうに決まってる。……そうじゃなきゃ……俺がおかしくなっちまったのか? 孝弘「……み、見えるよ」 孝弘「な、なんだこれは……ツツ!?」 俺の目の前には一筋の「線」があった。 鮮やかなオレンジ色の点線。 目の錯覚で済ませたかったけど、この地の果てまで続いてそうな点線は、現実に存在しているみたいだ。 孝弘「んーーー…………………………おお!そうか」 妙案が思いついた! これはアートなんだ! いわゆる現代ゲイジツってやつだろ?最初からそうじゃないかなーって思ってたんだよなぁ。 どこの駅前でも意味不明なオブジェとかが置いてあるけど、この「まほろば市」はこういう表現を使ってるんだ
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