プロローグ

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ブルマー「そう……引っ越してきたばかり……なら教えてあげるですの」 そう言うと、ですのですのとうるさいブルマー少女はようやく鎌を引っ込めてくれた。 ブルマー「この町の名前は「まほろば市」ですの」 ブルマー「この「市」は御剣町と鏡町というふたつの「町」が合併してできた場所なんですの」 孝弘「……あー。あー、あー。それ、すごく昔に親父から聞かされたような気がする」 そんなことすら忘れてたんだな、俺。 村や町が合併して大きくなると、政府から貰えるお金や制度の面で優遇されるとかで、合併した町がけっこうあると聞いたことがある。 ブルマー「ですが、実はふたつの町は大昔から、とってもとってもとってもとっても、と~~~~ても……」 孝弘「とっても?」 ブルマー「仲が悪いかったのですの」 孝弘「え……?」 ワル、イカ? 孝弘「……………………え?」 ブルマー「仲が悪いかったのですの」 ……。 仲が悪い? まさか……。俺、そんなこと知らないぞ? ブルマー「一時的に合併を成し遂げたものの、時間がたつに従って争い事もふえて……」 ブルマー「無駄な衝突を避けるために、やむなくオレンジ色の点線を引いて、境界線をはっきりさせたのですのー」 少女はそう言って、俺に境界線を指し示した。 んなアホな……! 俺がガキのころには、この街は確かにまほろば市だったはずだ。けど、そんな町同士の因縁なんて聞いたことがないぞ? 俺がガキすぎて、世間の常識を知らなかっただけなのか? 孝弘「はぁ……?なんだよ、それ……境界線?そんなもん引いてあったんじゃ、合併してる意味なんて、ぜんぜんないじゃん……!」 むしろ、このブルマっ娘の言い分じゃあ、合併したことで、いがみ合いが増したみたいじゃないか。 ブルマー「そんなことで、気をつけてほしいですの。人前で気軽に点線を越えたりすると争いの元になってしまうのですの」 つまり……あのオレンジ色の点線はアートじゃなかったってわけ……!? 仲が悪い国同士の国境線みたいなものなのか……。
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