プロローグ

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同じ民族なのに戦争でふたつに分裂しちゃって国境線はいつも緊張状態なんて話しを、ニュースや社会科の授業で聞いたことがある気がする。 同じところに犬猿の仲同士がそろってしまったらそれはあまりよくない状態だというのはわかる。 そんなときにいちばんなのは、どこからどこまでがそれぞれのテリトリーかをはっきりさせること。 皮肉なことに、それが無駄な争いを減らすってわけか……。 孝弘「んなアホな……」 口に出して言ってみた。 ブルマー「現実ですの、受け止めるですの」 ですの、ですのって、そんな語尾で話されたら、受け止められるものも、受け止められなくなるっての。 シリアスな話しの割には、このブルマー少女はいまいち緊張感に欠けている。 ブルマー少女っていう脳内呼称もストレートというか恥ずかしいので、こいつのことを「ですの」と呼ぶことにしよう。 孝弘「で、そ、その鎌は……なに?」 御剣町と鏡町が対立しているとかいうまほろば市である以前に、ここは日本国じゃないのか?銃刀法とかなかったっけ? ですの「今日はいい天気ですの」 孝弘「めっちゃスルーですやん」 雰囲気作りかな……? それはそれで理解不能だったが、もはやまともな思考回路もショートしかけていた。 っていうか要するにコスプレか!? いや、待て。それだったにしろ、この格好でうろつくのはマズイだろ? 孝弘「それじゃあ……もう片方の手に持っているそのノートは?」 ですの「☆ですのノートですの」 満面の笑みっすね。 ……。 ノートは……挟むのか……? 常識がオーバーフロー。 逆に吹っ切れた。なんでもきやがれ。郷に入れば郷に従えだ。むしろ順応してみせる! 孝弘「うん、それじゃあ……えっと……」 とりあえず世間話でもして、ペースを取り戻すことにしよう。 孝弘「ひっとしてあれかな、そのノートに人の名前と死に片と死亡時刻を書くと、その通りに人が死ぬとか?」
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