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香蓮は入院棟の休憩室で、缶ジュースを手で弄りながら、文菜の話を聞いていた。
「小学生くらいの女の子だったの…。噂の通り、赤いケープを着てた。話し掛けられるまで、側にいた事にすら気付けなくて…吃驚したわ」
「可愛かった?」
「え…そうね。可愛かったけど、私は怖かったわ」
「髪は長かった?短かった?」
「…結んでたわ。でも、そんなに長くない気がする。肩辺りまでくらいじゃないかしら…」
「何て言われたの?」
「電車に乗ったら死ぬって…だから、乗ったらいけないって」
「それだけ?もっと詳しく教えてくれないの?」
「うん。それだけだったわ」
「そっかぁ」
香蓮は弄っていた缶を開け、それを一気に飲み干した。
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