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そのリーダーっぽい人がこちらを見るのがわかった。私はまずいと直感で感じ、背を向けて走りだそうとした。
が、
「おい…。お前…待てよ」
その人の低い声に体が固まる。
「お前……。見てただろ。そのまま帰ろうなんてねぇんじゃねぇの?」
ど、どうしよう!!
だんだん近づいてくるのがわかる。
足音が私のすぐ横で止まった。
「おい……ばっくれらんねーぞ
顔あげろ……」
上げられるはずもないって。
だって、あの低い声。
理旡お兄ちゃんとは違う。
怖い……
「…ッ……
聞いてんのか?ちび!」
『きゃっ……』
ぐいっと無理矢理顎を持ち上げられた。
そう
その人と初めて目を合わせた。
私の目にはすっと整った顔立ちの青年が映った。でも、どこか哀しげな雰囲気を持っていた。
顎を持ち上げられ、ますます動けなくなってしまった。
『(なんで…放してくれないの?なに?
なんなの?💦)』
そう思うくらいその青年はずっと私を見ている。
その青年の動きも止まったように見える。
とにかく私は怖かった
『ふ………
……ふぇ……💦』
精一杯の力を振り絞り、その人の手を振りほどき急いでその場を走り去った。
「お、おい!お前……」
その人の声が聞こえてきたけど、私は必死で走った。
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