出会い

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サクラが舞い、篠中の入学式のため、生徒たちが体育館に集まっている。 もうすぐ1年生が入場してくるはずだ。入場の時間はとっくに過ぎている。 それなのに、体育館の入り口がなかなか開かない。 何人かの先生たちが横のドアから出たり入ったりしている。 もうすぐ入学式が始まるので美奈子は校歌と国歌斉唱のピアノ伴奏のため、体育館の舞台そでにスタンバっていた。 そこに辰川先生がやって来て、 「どうやら、1年生が二人逃走したようですょ。もう少し待ってください。」と言った。 「3組の生徒じゃないですよね?」美奈子は不安になって尋ねた。 「いいえ、1組の和則と4組の剛です。3組は全員います。安心してください。」 「やっぱり、二人は鳴り物入りで入って来たわね。」そう話している時に、教頭のアナウンスが聞こえた。 「1年生入場!」入り口が開いて、拍手が起こり、かわいい1年生が元気に入場してきた。 入学式はプログラム通り進んで行く。式が終わり、2・3年生が退場し、体育館には1年生とその保護者、それに1年生の担当教師のみが残った。 いよいよ担任紹介が始まろうとした時、入り口から高橋先生と特別地区専任の水野先生が二人の男子生徒を連れて入って来た。 この二人が和則と剛らしい。 まだまだあどけなさが残っている。 (まぁ、かわいい~)と美奈子は思った。 入学式から何か起こるとは想像しなかったが、篠中らしいと誰もが思っていた。 二人は先生たちに連れられ、シブシブそれぞれのクラスの後ろに座った。 いよいよクラス担任の紹介になった。 美奈子は3組の前に立ち、元気よく大きな声で 「篠中へようこそ!今日を楽しみにワクワクして待っていましたぁ。3組担任の辻美奈子です。よろしくお願いします!」 と言った。 後で保護者の一人があんな若い女の先生じゃ心配と思ったけど、あいさつがすごく元気いっぱいだたのでうれしかったと言ってくれた。 和則と剛は良二に呼びに出され怖かったから式に出られなくて、隠れていたらしい。 高橋先生と水野先生が調べて、今日は良二が学校に来ていないことを伝えたので安心して入って来たのだ。 篠中はそういう中学校だった。
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