死神

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「秋也、もう部活決めた?」 秋也ってのは、俺の名前だ。 昨日まで、川本に引っ張られて、色々部活を見ていた。 おせっかいではあるけど、そのおせっかいに結構感謝していたりもする。 川本は友達が多くて、そのおかげで俺は、たった数日しか経っていないのに、もうクラスになじみつつある。 尊敬の念をも抱く存在だ。 そんな彼の前で、部活どこに入ろうかなー、とつぶやいたら、自分の放課後を犠牲にするのも厭わず、あっちこっちに引っ張っていってくれた。 その記憶を辿りながら、いくつかの候補を絞り、口にする。 「もっかい見に行く?」 俺の迷っている様子を見て、川本がそう言ってくれる。 だけど、これ以上迷惑をかけるのは気が引ける。 「あとは自分で決めるよ。色々連れて行ってくれてありがとう」 そう言って、遠慮しておいた。
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