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いやな空気が流れる。
二台のモンスターが呻き声を上げる
だがS15のそれは悲鳴にすら聞こえる。
「じゃ、いきますよー」
田中の声、田中はカウントを始める。
「5」
田中が叫び、手を広げる
S15の気持ちよいかん高いエキゾーストが鳴り響く。
SR20の良さを引き出したそのエンジンはスキが少なく仕上げている。
低回転のトルクも十分であり、高回転もなかなかに回る。
「4」
田中が広げた手の親指を折る。
ミニクーパーにつまれているエンジンは正体不明だ。
しかし、あの汚く下品な排気音やあの長いボンネット。上からはみ出たスーパーチャージャー。
恐らくV8をつんでいるんだろう。「3」
さらに指を折る
二台のマシンからピリピリとした刺激を田中はかんじた。
「この勝負普通じゃない…」
今更気づき田中はそう呟く。
「2」
とうとうのびている指が二本になる。
高梨は緊張の糸をさらに敏感にする。テンションが今までとは違う。
「1」
最後の一本だ。
不気味な音、原型を留めていないそのボディ。
そのマシン全体が異様な空気に包まれる。
今までにない恐怖感にさいなまれながら高梨はアクセルを吹かす
「スタート!!」
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