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?『こんばんわ。』
?「こんばんわ。」
寝っころがった状態で挨拶を返す。
?『そろそろ起きたほうがいいわよ。』
ベンチに座っている女の人は上を指差す。
?「上?」
頭を元の位置に戻し、上、といっても仰向けの状態なので正面になるのだが、を見ると
小さな黒い点が見えた。
?「んー、ん?」
よく目を凝らして見ると、黒い点は人の形に見えた。
そしてそれがだんだん大きくなってくる。
?「これは大きくなってるというより・・・」
?『落ちてきてるだけね。』
?「ですね。・・・て、言ってる場合じゃない!」
すぐに起き上がり女の人がいるほうへと跳んだ瞬間
ズドンッ
自分が寝ていた場所に、あの黒いヤツが着地した。
?「あの、」
後ろの女の人に声をかける。
?『ん?何?』
?「あれはなんですか?」
黒いヤツに指を差しながら聞く。
?『あれは餓鬼ね。』
?「餓鬼・・・生前に贅沢なことをしてた人の果て、か。」
?『あら、よく知ってるわね。』
?「まぁ、色々とありましたから。」
苦笑いをしながら言う。
?『そう。・・・・ちなみにあれは36種の餓鬼の26種目、“羅刹”ね。』
?「四つ辻で人を襲い、狂気に陥れ殺して喰う、てヤツでしたっけ?」
?『ええ、その通りよ。・・・にしても本当によく知ってるわね。』
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