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「………初めから、私を騙すつもりだったの…?」
その問いに亜希ちゃんは答えず、私達に背を向けて歩き出した。
亜希ちゃんの背中が、寂しそう。
無意識に、足が亜希ちゃんを追いかけた。
彼が私の手首を強く掴み、それを止めた。
距離をとると亜希ちゃんは振り向いて、微笑みながら彼に問いかけた。
「……ねぇ、島本さん。どうしたら、ゆりじゃなくて亜希を好きになってくれますか?亜希の、何がダメですか?」
後ろを振り返り、彼の表情を確認した。
無表情だった。
彼の亜希ちゃんに向ける冷厳な視線に、私は固まった。
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