279人が本棚に入れています
本棚に追加
亜希ちゃんも、彼も、いなくなった。
謎ばかりが残った。
私は彼を捜そうとはしなかった。
どんな理由であれ、それが彼の答えなのだから。
消費者金融の借金は知らない間に完済し、私名義のキャッシュカードにお金が入っていた。
あの日のお金で、彼がそうしてくれたのだろう。カード類の暗証番号を全て実家の猫の誕生日に設定しているという事が何故わかったのだろうと思うと、心にあいた穴の大きさに、また泣いた。
それをもわかってしまう程の距離に彼はいたんだという事が、喪失感を助長した。
火傷を負ったかの様に溶けていびつに変形した私の心は、きっと一生このままだろう。
そして、自分を責める苦悩の日々が続いた。
最初のコメントを投稿しよう!