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行っちゃいますか
「えぇ、見つけました。はい、今から殺っちゃいます」
うぅん……。
誰かの声に目を覚ますと、視界にはベッドにいつも抱いて寝るペンギンのぬいぐるみのギンギンが、ヨダレでべっとべとになり横に寝ていた。
「ギンギンが喋ったの?」
乙女チックな発言をしながら頭ではぬいぐるみが喋るかよ! っと突っ込みを入れ寝返りをうつと、部屋の隅で携帯片手に電話している男性がいた。
「もしもし、あれ? もしも~し!」
「……窓側だと電波入りますよ?」
「え? 本当ですか? あ、マジだ。……はい、分かりました。では……ありがとうございました。たまに圏外の場所があって困るんですよね」
男性は携帯をポケットにしまい、頭をかきながらお礼を言ってきました。
黒いマントに黒い髪、顔だけが月明かりに白く浮かび中々のハンサムボーイだと眠気眼で確認し、再び夢の世界に向かおうとしましたが……おい、ちょっと待て。
「……どちら様ですか? ストーカーですか?」
ギンギン片手に飛び起き、男性から距離を取る。くそ、ドアは背中で塞がれている。
「あ、僕が見えるんですね? 確かに寝言で電波は無いか。ええと、ご挨拶が遅くなりました、私の名前はプラザ。死神を遣らせていただいてます」
「…………ちり紙?」
「いえ、死神です」
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