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男性は苦笑いをしながら、証拠とばかりにマントから大きな鎌を取り出し、どうだと言わんばかりに胸を張ります。
どう見ても殺人鬼にしか見えません。携帯で助けを呼びたい今日この頃ですが、出入口の隣しか無い窓は男性が陣取り、携帯には圏外の二文字が光っています。
「死神が何の用ですか。ブリーチの12巻を買い忘れたのを無視してたのが勘に障ったんですか?」
「いえいえ、ただ仕事で貴女を殺しに来ただけです」
……頭のネジがぶっ飛んだ殺人鬼ですか、分かります。
男性は本棚を見て「確かに12だけ無いな」と呟いています。
隙あり!
「てめえが地獄で懺悔しな!」
ドロップキックを胸に喰らわせようと水平にジャンプしましたが、距離が合わずに落下して脚の小指に極りました。
「くは!? ぬぃやぁあ!?」
結果オーライとはこの事です。床に打ち付け痛む体を急いで起こし、ドアに走りよりノブを回しました。
……開かない。
スライドという落ちはありません。
窓から脱出するにも、私が住んでいる部屋は8階です。脚の骨どころでは済まないでしょう。
「痛い……骨大丈夫かな。いきなり何をするんでしか笹山さん! 爪が変形したらどうするんですか!」
しまった! ノブをガチャガチャしている間に背後を取られました!
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