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妹の形見である携帯電話、それは彼にとって守れなかった物の象徴。
そして彼が昔、力だけを求めるきっかけとなった物。
『は~い、マユで~す…』
デスティニーが墜とされた際に携帯電話もコックピットにあったが、
奇跡的に内部メモリーは無事だった。
データを再生すると本来の持ち主だった少女の声が響く。
「マユ…」
世界を旅していた時、彼は彼女の声を再生していない。
忙しかったのもあるが、何かが彼にさせなかった。
しかし今彼はその声を聴いた。
「マユ…俺、お兄ちゃんだよ。
やっとみつけたんだ。
“助ける力”を。
マユみたいな人達を助けられる。
お兄ちゃん弱かったから守れなかったけど、
そんな俺でも“助ける”ことは出来るんだってさ。
だからもう少し、もう少しだけこっちの世界に居ようと思う。
お父さんにも、お母さんにも伝えてくれないかな。
それじゃ、またな。」
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