act 2

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妹の形見である携帯電話、それは彼にとって守れなかった物の象徴。 そして彼が昔、力だけを求めるきっかけとなった物。 『は~い、マユで~す…』 デスティニーが墜とされた際に携帯電話もコックピットにあったが、 奇跡的に内部メモリーは無事だった。 データを再生すると本来の持ち主だった少女の声が響く。 「マユ…」 世界を旅していた時、彼は彼女の声を再生していない。 忙しかったのもあるが、何かが彼にさせなかった。 しかし今彼はその声を聴いた。 「マユ…俺、お兄ちゃんだよ。 やっとみつけたんだ。 “助ける力”を。 マユみたいな人達を助けられる。 お兄ちゃん弱かったから守れなかったけど、 そんな俺でも“助ける”ことは出来るんだってさ。 だからもう少し、もう少しだけこっちの世界に居ようと思う。 お父さんにも、お母さんにも伝えてくれないかな。 それじゃ、またな。」
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