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光の翼が煌めきアスラは進んでいく。
レーダーに映る機影には生命反応が無く、
彼は歯を噛み締めると同時に冷や汗が背中を流れた。
運良く月面に不時着し早い段階で拾われた彼と違い、
目の前に浮かぶパイロット達は酸欠の恐怖に怯えつつ死んでいったのだ。
「こちらシン少尉!
目標地点に到着した!」
『了解!
当初の計画通りにお願いします。』
振り切るように視線を逸らしてアスラの変形を解き、
背負っていたユニットを展開して簡易治療空間を作り出す。
今彼がやれることは生きている可能性のある人を助けるだけだ。
増設されたレーダーで僅かな希望を手繰り寄せる。
「…反応あり!?」
そして安定用スラスターの設置が完了しレーダーに集中し始めてから数分後、
彼のレーダーには生命反応を示す光が映っていた。
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