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彼が現場に到着する前に既に対象が囮だったことは解っていた。
デスティニーから移植された高感度メインカメラとアイギス隊が増設したレーダーによって、
今抱えている機体がクライン派の物という事は確認できる。
『なっ…!?』
「今から撤退します。
舌噛まないように気を付けて下さい。」
落ち着いた、それでいて油断の無い声で抱えたグフのパイロットに伝える。
瞬間加速で逃げ切れたとは思えない。
説明しつつ機器を操作し抱えたままアスラを変形、
全速力で駆け抜ける。
『光の翼…君は…』
「アイギス隊のシン・アスカ少尉です。
後少しで救助用の中継テントに着きます。
酸素残量は大丈夫ですか?」
マニュアル通りの答えを返す彼。
抱えたグフはエース用に最初技術をもって改造したグフ・カスタムであるから、
パイロットはクライン派でも上の方なのだろう。
だが彼には関係ない。
そのパイロットも救助者の一人なのだから。
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