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マリーシア・アッシュとて今回の囮を用いた作戦が戦略的に意味が無い事は解っていた。
反乱軍の首脳陣はキラ・ヤマトの介入を聴くや本拠地であるメンデルから脱出、
残された彼女達の部隊がやれることは限られている。
偶然拘束したグフを使って時間稼ぎをしたに過ぎない。
『酸素残量は大丈夫ですか?』
「まだ1日程は保つ筈だ。」
もし状況が此処まで悪くなければ、
誘導しているMSのパイロットに疑問を持っていただろう。
有名な救助部隊であるアイギス隊には不釣り合いな“戦闘”技術は
罠と考えるのに十分な根拠になる。
「それに私の事は構わないでいい。
どうせ死ぬ身だ。」
『…。』
彼女がそう考えないのは、考えても意味が無いからだ。
罠かどうか以前に従う以外することが無いのである。
救助されたとしても彼女達は日本にとって外交上の邪魔者なしかならない。
余程の事が無い限りプラントに送られて銃殺刑が目に見えている。
『それでも貴女は救助者です。
俺は…アイギス隊は全力で助けます。』
聞こえてくる少年の声に小さく笑うと、彼女は静かに目を閉じた。
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