ACT 10

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「アスカ少尉を呼びました。 あと数分で帰艦します。」 彼と繋がっていた通信機を置いて、魅琴はゆっくりと後ろを振り向く。 そこには彼女の父親である吾郎の他に、プラント評議会のエリート議員であるイザーク・ジュールが居た。 何故来たかは簡単に予想がつく。 「突然の申し出で済まない。 プラント議長ラクス・クラインからの命を受けて此処に来たのだが、 彼宛の物もあるのでな。」 肩まで伸ばした銀髪を靡かせて吾郎に向けて書状を渡す。 吾郎は軽く礼をしてその中身を見た。 一瞬目を細める。 この場の人間にその変化に気付けたのは魅琴だけだ。 そしてその書状が予想通りだったことを彼女は悟る。 「“捕虜”引き渡しの件、 了解しました。 外務省の方にも伝えましょう。」 「ありがたい。」 彼女はモニターを注視する。 それは笑いを堪えるためだった。
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