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2年間生身で世界を回った彼は気配を感じ取れるようになっていた。
ザフトのエースとしてMSを駆っていた頃には感じ取れなかった感覚が、
今ではひしひしと伝わる。
「くそっ…!!」
気付いた時には走りだしていた。
向かう先は薄暗い路地裏。
街灯が微かに照らすだけの道を駆け抜けていく。
少しずつ耳に入ってくる物音。
聞こえてくる声。
(男4人に女1人
…襲われてる?)
瞬間、彼にスイッチが入った。
“守る”という脅迫観念が脳を支配して体中に緊張が走る。
この路地裏では誰も気付けない。
守れるのは自分だけ。
「あっ…いやっ……助けて…」
そして彼の耳に彼女の悲鳴が届いてしまった。
瞳から光が消える。
脳裏に情景が360度映し出され、思考が急激にクリアになる。
ぎりっ、と歯を噛み締めて、彼は現場に躍り出た。
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