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差し出されたFaithバッジを荒々しい手付きで振り払う。
唖然とした表情のラクス。
リミッターが外れた彼にはそんな事など関係ない。
「またかよ!
またアンタ達はそうやって俺から奪ってくのかよ!!」
「そんな…私達はっ!」
光が消え失せた瞳が睨みつけ、ラクスは生まれて初めて恐怖を感じた。
凝縮された莫大な負の感情が遮る物無く直接ぶつけられる。
銃口を向けられるよりも恐ろしい感覚。
冷や汗が流れ落ち一歩引き下がるが、
彼はそれより早く足を踏み出して胸倉を掴んだ。
「アンタ達がフリーダムを渡したから俺の家族はみんな死んだ!
アンタ達が介入したからステラが死んだ!
ハイネ隊長も!レイも!
アンタ達が議長を撃ったから戦争の無い世界が消えたんだ!
それで今度は何を奪う気だ?
このアイギス隊バッジかっ!?」
「…っ!!」
傷一つない手入れされた顔に、彼の傷だらけの顔が近付く。
議長室が防音仕様なため彼女を助ける騎士は此処には来ない。
逃れる術など無い。
「…俺に構ってる暇有ったら
プラントの中を一人で視察してみろ。」
「あっ…。」
捨てるように彼女を投げ捨て、彼は目の前で手紙を破り割いた。
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