第一章

5/12
前へ
/12ページ
次へ
 教室に入ると、我が校の制服を着た女性が俺の方に小走りで駆け寄って来た。  言うまでもなく、その女性は先ほどぶつかった美少女でして、こちらに向かって満面の笑みを浮かべていた。  うむ、先ほどから美少女と言っていたが、改めて見てもすげー美少女だな。  さらさらの直毛は膝近くまで伸びている。  その黒髪はまさしく人知を越えてるんじゃねえかなあ、と思うほどに美しい。  上質な黒の絹でも、まるで敵いやしないであろうそれは、美しい以外の表現を許さない。  人類史上最高の黒を表現し、それだけで十分な程の存在感を持っていた。  しかし、こと彼女に関しては例外である。  何故なら、その黒髪もさることながら、肌の白さもまた、信じられないものがあるからだ。  彼女の黒髪は彼女の背を覆い隠す背景の様になっていた。  その背景も相まって彼女の白い肌が、圧倒的なまでに際だっている。  黒の中にある白は浮かび上がるようで、その白は純白と呼ぶに相応しいだろう。  むしろこれを純白と呼ばずに何を、純白と呼ぶのかわからなくなるほどの白さである。 一回目完了
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加