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それから―――。
ものの30分で、【ラヴィリア】は壊滅状態になった。
いま、正にフィーラルは【ラヴィリア】のボスと対峙していた。
「貴様っ。誰だ!!。」
「その首、もらう。」
問いには答えずそう言うと、目に見えない速度で、剣を奔らせ、言葉通りにボスの首をおとした。
(弱い……。)
ごとり。と鈍い音を立てて落ちた【ラヴィリア】のボスの頭を見ながらそう思う。
ブシャアアアッ。
斬れた首から血が雨の様に噴き出て、フィーラルの全身に血が降り注いだ。
そう言えば。と相方の方へ目を向けると、肩で息をしていた。
「…。」
足を引っ張りはしなかったが、さして役には立たなかった。
だって、【ラヴィリア】の隊員とどっこいどっこいだし。
それは、フィーラルの目から見たものであり、彼はけして弱くは無い。
けれど、【鴉】の中で随一の実力を誇るフィーラルからしてみれば、まだまだだった。ということだ。
「戻るよ。」
一声掛け、転移魔法で自宅へと、戻った。
かたん。
なるべく音を立てず玄関に入り、廊下を進む。
因みに目的地はバスルーム。
せめて血は落としたいからだ。
そうっと進むが、やはりデルタは気付いてしまった。
「お帰り。」
ぱちり。と廊下の電気をつけて、デルタはいう。
「うん。ただいま。」
全身血塗れのフィーラルを見て僅かに目を見開いてから。
「風呂入っておいで。」
こくりと頷いて、バスルームへと入りシャワーを浴びる。
心地よい温水が流れていく。
わしゃわしゃと頭を洗い、体を洗っていく。
ボディーソープの甘いかおりと混ざり、血の臭いがする。
「…。」
ま、しょうがないよね。
大して気にする風もなく、泡を洗い流し、バスルームを出た。
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