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とてとてとリビングに歩いて行くと、ふわりと頭に何かが覆いかぶさって来た。
反射的に、手で振り払う。
バシッ。
「ってぇ……!。」
床に落ちるバスタオルと、誰かの声が聞こえた。
「でるた…!。」
しまった。思い切り、弾いてしまった。
「御免ね。」
警戒を解いてそう言うと、大丈夫だ。とデルタは微笑った。
「悪いな。癖でつい気配断っちまった。」
ふぅ。と、息をつき、肩の力を抜いた。
「びっくりした…。」
呟いてから、デルタを見上げて言う。
「中途半端に気配を断たないで…。デルタを傷つけたくはないけど…、いつか、そうしてしまうかも知れないね。」
知らぬ間に、哀しそうな表情を浮かべているともしらず。
「中途半端…。完全に断ててなかった?。」
デルタはその表情に気付いてはいたが、敢えて言わなかった。
「うん。でるたは、気配断つの巧いとおもうよ。でも、でるたより気配を読むことに長けてる人には気付かれる。」
ちょっとだけ、漏れてるよと言うと、すこし苦い表情をして。
「訓練不足か…。」
と呟いた。
―――しかし、一応安全な場所とはいえ、気を抜き過ぎた。
不測の事態に遭遇した時、油断していて死にました。なんて、笑い話にもならない。
それに怪我こそさせてないけど、いつかデルタみたいに、仲間を傷付けてしまうかもしれない。
気の緩みは、重大なミスを犯すのだ。
それに、マスターに迷惑を掛ける訳にはいかないし。
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