貴族

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あれから、フィーラル達は学園に向かった。 血臭を漂わせたまま、だ。 落ちないモノはしょうがない。 ばれたらその時。 フィーラルはデルタと別れ教室に向かうと、早い時間だったが、何人か生徒がいた。 その中にはレイもいる。 「おはよう。…フィーラル」 「おはよ。」 レイはフィーラルに近づき、挨拶をする。 フィーラルもそれに倣い挨拶を返すが、すん。とレイが鼻をひくつかせ、怪訝な表情をした。 ばれたかな………。 レイは吸血鬼(ヴァンパイア)だから、人一倍血の臭いに敏感な筈だ。 ばれない訳がない。 「昨日あの後、何が有ったんだ?」 血の臭いがする。ときつく眉を寄せる。 来た…。 「きのうはね…、魔物狩りに行った。血いっぱい飛んじゃったから臭い落せなかったのかな…?」 ゆっくりと首を傾げ、フィーラルは言う。 まぁ。狩りと言ってもほんとは“魔物”じゃなくて“人”を、狩ってたんだけどね。 「何でまた…?。ギルドの依頼?。――と言うか入ってるのか?」 「ううん。食材として。――魔物の肉っておいしいんだよ。」 …ってデルタが言ってた。 僕はあんまり食べたことないけど。 「へぇ……。」 レイは感心した様に頷いた。 どうやら納得したらしい。 それから席に着き、鞄から本を取り出した。 あれから暫くたった頃、続々と生徒達が登校してきた。 その中にはルナやヴェルといった見知った姿もある。 「おはようございます。フィーラル、レイ。」 「おはよー!。皆。」 「おはよ………。」 上から順に、ルナ、ヴェル、エルだ。 ヴェルは朝から馬鹿の様に元気で、挨拶を終えればクラスメイトとばか騒ぎをしている。 「朝から元気ですわね………。」 ルナの呆れた様な声が小さく響いていた。 「えー。今日は新しい魔法を教える。しっかり覚えろよー。」 一時間目の始まり。 グレイの一言で、教室が色めきたった。 皆新しい魔法を覚えるのはやはり嬉しいらしく、きらきらと目を輝かせていた。 「んじゃー。今日教えるのは上級の魔法だ。中級迄の復習はこないだやったからいいな?」 グレイはしょうがない。と溜息を吐き出して、そう問うと、はーい!。という元気な声が返ってきた。 「よし。じゃあ教科書開けよ。」 こうしてグレイの授業が進んで行っているとき、フィーラルに【念話】が入った。
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