貴族

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あの後、数十人の侵入者をすべて潰し、無事、パーティーは終わりを迎え、今、フィーラル達は、当主の部屋に招かれていた。 「今日は、本当にありがとう。」 やはり、人としては正しいが、貴族としては有り得ない発言をさらりと当主は吐き出した。 『勿体無い御言葉で御座います。』 二人の言葉に、当主は詰まらなそうに眉をひそめ、いう。 「固っ苦しいなぁ。もっと楽にしていいのに。」 『……。』 フィーラルとデルタは、同時に思う。 この人間は、貴族という何においても、規格外な人間だ。 「うん。やっぱりギルドに頼まなくてよかったよ。」 しかし、二人のそんな様子は全く気に留めず、そんな事をのたまった。 『は…?』 思わず、ぽろりと2人の口からその言葉が零れ落ちた。 何故ならギルドの方が安価で、裏の人間よりも信用できる。 何より暗殺者には及ばずとも、強力な力を有するギルドの者も居る。 それなのに、何故。 フィーラル達の言いたい事が解ったのか、当主はにこりと笑んで。 「一応、曲がりなりにも、俺も貴族だからね。こういったものは、何度か開くんだ。やっぱり今日みたいな輩は何時も来るから、ギルドでも有名な【二つ名】を持つ者に依頼したんだ。」 其処まで言って、当主は嫌なものを思い出したかの様にげんなりとする。 「うん。確かに凄かったよ?。うん凄まじかったさ。―――でもそれの魔法が派手だったんだよ。貴族達に成るべく気取られないで。と言ったのに。」 騒ぎの収拾が大変だったよ。と言い切って、当主はまたもや口を開いた。 「そんな事が何度続いたか。ギルドに頼む気も失せるよ。今回君達には試しに、手段は問わない。と言った。貴族に気取られず、事を成した。―――――見事な手際だよ。」 優秀だね。と当主は素直に二人は賞賛した。 彼はギルドの人員に恵まれなかったらしい。哀れな事だ。
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